フィンランド、移民問題でロシアとの国境閉鎖を無期限に延長

フィンランド、移民問題でロシアとの国境閉鎖を無期限に延長

フィンランドはロシアとの国境閉鎖を無期限に延長した。この決定は、ロシアから国内に入ってくる無許可の移民に対する懸念によるものだ。

フィンランド政府はこの動きの背景として、モスクワが画策する「手段化された移民」のリスクを挙げている。

陸路と海路の国境閉鎖

4月15日からフィンランドとロシアを結ぶすべての陸上国境が閉鎖される。

さらに、ハアパサリ港、ヌイジャマー港、サンティオ港は、海外旅行用に開放されていたが、国境越えも禁止される。

これらの措置は、政府が解除しても問題ないと判断するまで継続される。

ロシアの移民兵器化疑惑

フィンランド内務省によれば、ロシアがハイブリッドな影響力を行使するために、今も国境通過を画策していることを示す証拠があるという。

マリ・ランタネン内相は「フィンランド当局は長期的な状況だと考えている。この春、状況が根本的に変化したことを示唆するものは何もない」と述べた。

これまでの国境閉鎖と懸念

昨年、フィンランドはロシアとの国境を閉鎖せざるを得なかった。これは、ロシアがシリアやソマリアからの移民をフィンランドに入国させやすくしたためだ。

フィンランドも欧州連合(EU)も、ロシアが移民を自国の目的のために利用していると批判している。

フィンランドに正規の書類なしで入国する人の数は、2023年9月以降の3カ月間で大幅に増加した。この増加はフィンランドがNATOに加盟した直後のことだ。

これらの移民のほとんどは、アフガニスタン、エジプト、イラク、ソマリア、シリア、イエメンといった中東やアフリカからのものだ。

これらの移民は、EUの一部で人口約560万人のフィンランドに亡命を求めている。

ペッテリ・オルポ首相のスタンス

フィンランドのペッテリ・オルポ首相は、ロシアとフィンランドの国境はEUの北の対外国境でもあり、通常よく警備されている。

クレムリンはヘルシンキの主張を否定し、フィンランド政府は国境に関する対話に応じないとしている。

フィンランドのアレクサンダー・スタッブ大統領は、ウクライナへの支持を強調し、東部国境を無期限に閉鎖するという決定を擁護した。

彼は、ウラジーミル・プーチンが冷笑的で、冷酷で、不正な目的のために移民を操っていると批判した。

スタッブ氏はまた、モスクワはロシア人男性が軍隊への徴兵を避けるために国境を越えて逃亡することを恐れていると指摘した。

物議を醸す本国送還法案

フィンランド政府はより厳しい国境法の導入を検討している。この法律によって、移民が庇護を求める正当な理由がないと判断された場合、速やかにロシアに送還することが可能になる。

しかし、この案には反発がある。批評家たちは、国境に関する国際協定に違反するのではないかと懸念している。

発展するシェンゲン協定への波紋

フィンランドとロシアの国境が一時的に閉鎖されたことで、EUへの訪問や移住を希望する人々に影響が出るかもしれない。

亡命希望者はこれまで通りフィンランドの空港や港で申請できるが、規則の厳格化は、長期滞在を希望する旅行者や、投資ビザ、家族再統合、学生ビザなどの居住オプションを追求する旅行者に影響を与える可能性がある。

また、欧州渡航情報・認証システム(ETIAS)の2025年半ばの開始が近づくにつれ、ビザを必要としない国からの旅行者は、シェンゲン協定加盟国を訪問する際に特別なチェックを受ける可能性がある。

EUの移民政策の再定義

フィンランドは断固とした姿勢を示しているが、これはEUにおける大きな傾向の一部であり、政治的緊張や安全性への懸念から、各国が入国管理規則を再検討している。

本国送還法案は物議を醸しているが、国境管理の強化に向かう可能性を示唆している。

シェンゲン協定加盟国が移民問題で苦戦するなか、フィンランドや他の国々は、国境を開放することよりも国家の安全保障を優先し、域内の移民規則を調和させるかもしれない。

地政学的情勢が変化する中での毅然とした姿勢

フィンランドがロシアとの緊張関係に直面しながら、移民という厄介な問題に対処している中、国境通過の無期限閉鎖を決定したことは、国境管理に対するフィンランドの強い姿勢を示している。

政府の行動は、ロシアが自国の目的のために移民を利用するという懸念に対処するためのものであり、国際法に従い、フィンランドのEUやNATOとの約束に忠実である。