エストニア、ロシアとの国境閉鎖を検討

エストニア、ロシアとの国境閉鎖を検討

エストニア当局は、ロシアとの国境沿いに要塞化されたバリアと高度な監視システムを急速に建設している。

こうした動きは、クレムリンがハイブリッド戦争として欧州連合(EU)の国境を突破しようと移民の流れを画策しているのではないかという疑惑を受けてのものだ。

エストニア警察国境警備隊は ロシアとの335キロの境界線(207キロの陸地と河川を含む )の安全確保に膨大な資源を投入して いる。

移住政策局のジャネク・マギ局長は12月5日、陸上インフラは2025年末までに工事を終え、それまでにドローンや低空飛行物体を発見するための監視装置を設置すると述べた。

十分な資金があれば、2027年までに完成する可能性もある。

弱者を武器にする

政府関係者は、脆弱な亡命希望者を武器化するこうしたハイブリッド戦争戦術は、2021年にベラルーシが隣国ポーランドに中東からの移民を殺到させるために行った行動を反映していると懸念している。

クレムリンは国境通過の企てを否定しているが、マギはナルヴァ川の並行監視システムは特にこの流れに対抗することを目的としていると述べた。

「ロシアに一時的に滞在しているエストニア国民には、ロシアに滞在し、可能であればエストニアに戻る必要性を検討するよう求める」と 外務省は 声明を発表した。

エストニア、完全閉鎖を視野に

マルグス・ツァクナ外相は、不安定さが増す中、エストニア国民に対し、ロシアへの完全な横断を避けるよう緊急警告を発した。

不測の事態が激化するにつれ、当局は予告なしに国境を封鎖する可能性がある。

リトアニアの軍隊のトップも、ロシアとの境界に変化がないか積極的に監視を続けており、必要であればカリーニング回廊からのアクセスを遮断する用意がある。

人的安全保障の面だけでなく エストニア、フィンランド、ロシア間の貿易や旅行ルートが閉ざされることによる経済的影響も 当局を悩ませている。

フィンランドが最初に横断路を閉鎖

先週、シリアやイエメンなどから飛来した移民の集団がロシアとの国境に押し寄せた際、フィンランドは 2週間にわたり8カ所すべての横断歩道を閉鎖し、移動を全面的に禁止した最初の 国となった。

あるフィンランド政府関係者は、この急増をヨーロッパの安定に対するプーチン政権の「意図的で皮肉なハイブリッド行動」と呼んだ。

この言葉は、「ロシアは他国に圧力をかける道具として移民を利用している」というNATOの警告と呼応している。

EUの国境強化で旅行者は不安に直面する

エストニアとその近隣諸国が、移民の武器化の中でロシアとの国境を完全に閉鎖すると脅しているように、その波及効果は、短期滞在者と長期移住者のどちらにも、どちらの方向へ向かう際にも旅行を複雑にすることになる。

エストニアとロシアの国境のような国境が無期限に閉鎖される可能性は、家族旅行、留学、投資イニシアティブ、地域全体のデジタルノマドを危険にさらす。

EUの保留中のETIAS(欧州渡航情報認可システム)計画も、ロシアと欧州のシェンゲン圏を行き来する旅行者の審査を強化する圧力に直面している。

強硬な入国管理政策も迫る

ロシアが国境に亡命希望者を殺到させ続ければ、EUは単に旅行者が厳格な規則や審査を通過するだけでなく、移民政策全体についても強硬姿勢に転じる可能性がある。

100万人を超える移民がヨーロッパに流入し、大きな政治危機を引き起こした2015年の再来を懸念し、ブリュッセルではEU圏の外部境界を強化する議論が行われている。

この危機的な雰囲気は、全体として移民率の大幅な低下を求める大陸中の民族主義的な政治派閥を煽り、EUへの長期的な移住や定住を希望する外国からの家族、学生、労働者に顕著な影響を与える可能性がある。

観光客に影響を及ぼす保留中のETIASスキームと同様、ロシアの国境戦の疑いのある戦術に対応するため、EU圏がより厳格な移民政策を受け入れる可能性は依然として高い。

未来は天秤にかかっている

エストニアとその近隣の同盟国が、モスクワによる移民の武器化疑惑に対抗するための取り組みを強化する中、ロシアが関与する旅行や貿易にとって不安定な状況が続いている。

無期限の閉鎖となる可能性があるなか、市民は速やかに出国するよう露骨な忠告を受けている。