2023年、アムステルダムでは観光客の宿泊が急増し、940万人の観光客が少なくとも1泊を過ごした。
市議会によると、宿泊者数は合計2210万人で、予想を上回り、新記録を樹立した。
過剰観光対策が必要と判断
過剰観光を減らすための市の努力にもかかわらず、観光客の数は増え続けている。
アムステルダム市観光局長のソフィアン・ムバルキ氏は、この増加は世界的な傾向の一部であり、止めることはできないと述べた。
同氏は、過剰観光を抑制し、宿泊数を制限する対策を講じる必要性を強調した。
アムステルダムが観光規制を強化
アムステルダム市はすでに、観光税を世界最高水準に引き上げ、この問題に取り組み始めている。
また、リバークルーズの利用を減らす計画で、ホテルの新規建設も禁止している。
さらに、ホリデーレンタルやベッド&ブレックファストにも制限がある。
地元の人々が自宅を貸し出せるのは年間最大30日までで、市議会から許可を得なければならない。
迷惑観光に取り組む市中心部
アムステルダム市は、特に市中心部において、多すぎる観光客による問題に対処している。
これに対処するため、市は売春宿やバーの早期閉鎖、歓楽街でのアルコール販売の制限、公共の場での大麻喫煙の禁止など、具体的な措置を講じている。
日帰り客が観光客の急増を後押し
宿泊に加え、アムステルダムは昨年1,510万人の日帰り観光客を受け入れ、その約60%がオランダ国内からの観光客だった。
これは、コロナウイルスパンデミック前の最後の年である2019年の1260万人の日帰り観光客と比較して大幅な増加である。
EU旅行の新時代
2025年半ばには、欧州渡航情報・認証システム(ETIAS)が開始される。このシステムは、シェンゲンビザを必要としない国からの旅行者を旅行前にチェックする。
これにより、アムステルダムをはじめとするEUの目的地に向かう旅行者のセキュリティが強化されることになる。
ETIASによって旅行がスムーズになる一方で、アムステルダムをはじめとするヨーロッパ各地を訪れる観光客の数に影響が出る可能性もある。
アムステルダムがEUの移民受け入れのモデルに?
アムステルダムがオーバーツーリズムの課題に取り組む中、その戦略は同様の問題に直面する他のEU諸国のモデルとなりうる。
観光税の引き上げやホリデーレンタルの制限など、アムステルダム市の積極的な施策は、観光の恩恵と地域社会の幸福のバランスを取るというコミットメントを示している。
こうした政策は、他のEU諸国が自国の移民・観光政策を管理する際に同様のアプローチを採用し、すべての人にとって持続可能な成長と住みやすさを確保するきっかけとなるかもしれない。
観光と住みやすさのバランス
アムステルダムが記録的な数の観光客を惹きつけ続ける中、市当局は、観光客を歓迎することと、住民のための住みやすさを維持することのバランスを取ることに取り組んでいる。
的を絞った施策の実施は、アムステルダムが活気に満ちた魅力的なデスティネーションであり続けることを確保しつつ、過剰な観光による悪影響を緩和することを目的としている。