欧州連合庇護機関(EUAA)と欧州連合自由・安全・司法分野における大規模ITシステムの運用管理機関(eu-LISA )は、両機関の協力関係を強化するための協定に調印した。
新たな協力計画
12月5日、EUAAのニーナ・グレゴリ事務局長とeu-LISAのアグネス・ディアロ事務局長は、庇護手続き、データ保護、研究・技術革新などの分野にわたる共同行動の概要をまとめた協定を締結した。
2023年から2025年にかけての具体的な協力分野は以下の通り:
-
Eurodac改革の実施と移民データベースのデータ品質の支援
-
権利保護を確保しつつ、庇護手続きにおけるAIの活用を模索する。
-
事業継続の取り決めと安全保障協力の強化
-
研修方法に関する専門知識の共有と共同モジュールの開発
-
移民分析と相互運用可能なシステムの研究協力
この計画は 、 eu-LISAと旧欧州庇護支援局(現在のEUAA)の間で2014年に調印された既存の 作業取決めを基礎とすることを目的として いる。
両機関は、司法・内務機関ネットワークにおける役割の一環として、それぞれの権限の範囲内で協力する。
年1回のハイレベル会合と技術ワークショップが実施を監督する。
献身を再確認
「この新たな協力計画への署名は、eu-LISAとEUAAが、加盟国およびEU全体への貢献を強化するための最も効果的な手段として、協力関係を維持し、拡大していくことを再確認するものである」とディアロは述べた。
ETIAS立ち上げでデータ需要が生まれる
2025年5月に予定されている 欧州渡航情報・認証システム(ETIAS)の立ち上げでは、 申請者のデータを扱うため、eu-LISAとEUAAの緊密な協力が必要となる。
ETIASは シェンゲン協定加盟国への旅行者の情報を収集 し 、安全保障や健康上のリスクを特定する。
60カ国から年間3,000万人以上の申請が予想されるこのシステムは、両機関の権限の下、慎重な処理を必要とする膨大なデータを生成する。
権利基準を守りながらETIASデータを効果的に収集、保存、分析、保護するためには、訓練、研究、相互運用性といった分野での協力が不可欠となる。
この協力計画は、ETIASを安全かつ円滑に実施することを約束するものである。
一元化された政策は共同の努力に頼る
この合意はまた、EUの移民政策の一元化を可能にする上で、両機関が共有する役割を再確認するものでもある。
EU圏がシェンゲン協定に基づく対外国境管理、亡命基準、ビザ規則の調和に取り組む中で、一貫した適用は統合されたシステムと専門知識にかかっている。
EUの移民データベース、分析能力、監視メカニズムに関する両機関の共同イニシアティブは、政策決定に情報を提供し、普遍的な執行を保証する。
これは、移民・亡命に関する新協定で提案された拡大審査規則や連帯プラットフォームのような欧州のイニシアチブを、各国当局が統一的に実施できるようにすることで、加盟国に利益をもたらす。
また、学生から投資家までのビザ申請者にとっても、共通の規則がEU全域で共通のプロセスと結果につながることが明確になり、保証されることになる。
協力の実現
今回の合意は、EUの国境を保護し、亡命申請を管理するためのデジタル・ソリューションで提携する機関にとって、極めて重要な時期に行われた。
加盟国間で新たな移民政策や相互接続された情報システムを展開し、監督する上で、両機関の協力は不可欠である。