世界中を旅することは、多くの人々にとっての願いです。欧州では、デジタルノマドのムーブメントが徐々に広がっており、いくつかの国ではデジタルノマドビザが開発されています。これらのビザのおかげで、デジタルノマドは観光客よりも長い期間欧州に滞在することができます。これらの短期ビザは、欧州に住み、働きたいデジタルノマドに機会を提供しています。これにより、地域経済にプラスの影響を与えることができます。ここでは、これらのデジタルノマドビザの仕組みや、基本的な要件、申請書の提出方法についてご説明します。
EUのデジタルノマドビザはどのように機能しますか？
デジタルノマドビザは現在、クロアチア、チェコ共和国、エストニア、アイスランド、ドイツ、スペインなどのEU諸国によって提供されています。デジタルノマドビザの資格と使用に関する要件や制限は国によって異なります。大使館に申請書を送付するか事務所に直接持ち込むよう要求される場合もあれば、資格のある市民がオンラインで申請できる場合もあります。例えば、クロアチアのような国では、リモートワーカーは到着後に1年間の居住許可を申請することができますが、これはクロアチアの法律に基づいています。滞在中、クロアチアの企業にサービスを提供することはできず、所得税の影響も受けません。
デジタルノマドビザの一般的な要件
通常、ビザの要件は国によって異なります。ご希望の国のデジタルノマドビザの要件を確認することをお勧めします。その国の当局と連絡を取り、その国の規定を読んで、申請手続きをよりよく理解することができます。渡航希望国によっては、この手続きに数ヶ月または数週間の長い期間がかかる場合があります。
ほとんどの場合、デジタルノマドビザの申請には以下が必要です。
- 収入または貯蓄の証明
- 国外で事業登録をしていることの証明
- 渡航に有効なパスポート
- 医療書類（予防接種の証明など）
- ビザの申請料の支払い
デジタルノマドビザを提供している欧州諸国
ドイツ
ドイツは、2種類のデジタルノマドビザを提供しているEU諸国の1つです。1つ目は特別なフリーランサービザで、freiberufler（フリーランス）ビザとして知られています。ビザの有効期間は3ヶ月で、後に永住権に切り替えることができます。これは、マーケティングや、IT、建築、エンジニアリングなど、さまざまな業種の自営業者に適しています。
もう1つのドイツの自営業ビザは、Aufenthaltserlaubnis für selbständige Tätigkeit（自営業のための滞在許可証）として知られるものです。このビザにより、外国人渡航者や独立した非市民は6ヶ月間から3年までドイツに住むことができます。このビザは、freiberuflerビザよりも手続き期間が長くなります。
申請資格
ドイツの自営業ビザの資格を得るには、以下の条件を満たす必要があります。
- ドイツ国内に居住地がある
- 安定した収入があり、経済的に自立していることの証明
- 健康保険加入の証明となる書類
- フリーランスの計画の証拠を提示する
- 地元経済への参加を示すため、ドイツを拠点とする顧客がいる
要件
- 必要な書類をすべて提示する
- 100ユーロのビザ申請料を支払う
- ビザ申請のために領事館に行く
- ドイツでの居住地を確保する
スペイン
スペインは現在、非市民が3ヶ月以上同国に住むことを可能にする非営利目的居住ビザを提供しています。このビザは更新可能で、スペインからリモートで働きたい非市民のために設計されています。また、退職した人々や経済的に自給自足している人々にも役立ちます。この国は、低予算で過ごせることや、山、ビーチなどの美しい場所、独立した人々に適したフリースタイルなライフスタイルで知られています。ただし、このビザで就労することはできません。
申請資格
- 経済的に自立していること、または月額最低2,500ドルの退職年金を受給していること、あるいは32,043ドルの貯蓄を保有していることを証明するもの
- 警察による身元調査の証明
- スペインの民間健康保険
- 健康保険の補償書類の提出
要件
- 最寄りのスペイン領事館で直接申請する
- 居住国から付与された許可に加え、すべての書類をスペイン語で提出する
- 国籍に応じて86ドルから612ドルの申請料を支払う
- スペイン滞在中に雇用されないことに同意する公正証書に署名する前に、出国したいことを確認する文書に署名する
ポルトガル
ポルトガルでは、3種類のビザが提供されており、いずれも有効期限は1年です。
- ポルトガルのpassive income（受動的収入）ビザ。このビザは、投資不動産から年間約20,000ユーロの受動的収入があり、この資格を得ることができる個人のためのビザです。
- ポルトガルの起業家ビザ。このビザは、より長く滞在し、現地企業のために働きたい起業家のためのビザです。
- ポルトガルの自営業ビザは、ポルトガルの現地企業で働いているか、就職を希望していることを証明するために必要なビザです。
5年後、永住が可能なデジタルノマドビザを申請することができます。
申請資格
- 月額750ドル以上の収入が必要です。
- 財産からの収入の証明または事業所有権の証明
- 財源の証明
- 犯罪歴の審査を受ける
- 健康保険加入の証明
要件
- 83ユーロのビザ申請料と72ユーロの滞在許可申請料を支払う
- 近くのポルトガル大使館に行く
- あらかじめ必要書類に記入してプリントアウトしておく
エストニア
エストニアは、デジタルノマドビザを提供しており、外国人は1年間国内で生活し、働くことができます。エストニアは、ユニークなe-residencyプログラムを開発して順応した最初の国です。このプログラムは、EUを拠点としたオンラインビジネスを確立し、運営しようとしている人々にライセンスを提供するものです。その後、エストニア政府は、外国人が1年間のデジタルノマドおよびフリーランサービザを使用して、フリーランスとして生活することを許可するようになりました。これにより、渡航者の来訪を促し、地域経済を振興しています。
申請資格
- 1か所での作業に制約されず、通信技術を使用して仕事をすることができる
- エストニア以外の国で登録されている雇用主または自分の会社で働いているという証拠がある
- 過去6ヶ月間に月額約3,504ユーロの収入を得ている
要件
- オンライン申請書に必要事項を記入し、最寄りのエストニア大使館または領事館で直接申請する
- 短期滞在ビザは80ユーロ、長期滞在ビザは100ユーロの申請料を支払う
- 申請の一部としてバックグラウンドチェックを受ける
チェコ共和国
チェコ共和国でフリーランスまたは自営業者として働きたい場合は、ノマドビザを申請することができます。チェコはデジタルノマドのためにZivnoビザを提供しています。有効期間は12ヶ月で、必要に応じて延長することができます。ただし、申請プロセスは少し複雑で、他のノマドビザよりも時間がかかることがあります。
申請資格
- 12ヶ月以上居住する場所の証明を提供する
- 銀行口座に（渡航申請者1名につき）€5,587以上ある
- 月々約80ドルの地方税をを支払う能力がある
要件
- 代理店に手続きを依頼する
- 国籍に応じた必要書類のリストを準備する
- 長期滞在ビザの場合はチェコ大使館で申請する
- 100ユーロのビザ申請料を支払う
クロアチア
クロアチアは、最近デジタルノマドビザを導入した欧州諸国の1 つです。クロアチアは、繰り返し訪れる多くの観光客の心をつかんでいます。このビザでは最大12ヶ月の滞在が可能です。また、このビザを取得した渡航者は、税金が免除されます。クロアチア政府は、より多くの渡航者を引き付け、滞在を楽しんでもらうため、この決定を行いました。ビザの欠点は、滞在期間が1年間しかなく、永住権の選択肢がないことです。
申請資格
- 滞在場所の証明
- 自営業者またはフリーランスとして働ける証拠を提出する
- 1か月あたり2,500ユーロ以上の収入または貯蓄
- 滞在期間中有効な健康保険に加入している
- 居住国での犯罪歴チェック
要件
- 590クーナおよび35クーナの申請料を支払う
- OIB識別番号を取得する
- パスポート写真2枚
アイスランド
アイスランド政府は現在、非市民にリモートワーカービザを提供しています。このビザにより、リモートワーカーは国内で6ヶ月間働くことができます。外国人は、長期滞在を希望する場合、長期ビザを申請することもでき、その収入には現地の税率が適用されないはずです。
申請資格
- アイスランドの民間健康保険に加入している証拠を提出する
- 申請者は、場所に依存しない事業を所有しているか、アイスランド国外にある会社に勤務している必要があります。
- 雇用の証明を提出する
- 個人の場合は約8,000米ドル、カップルの場合は10,000米ドル以上の月収があることを証明するもの
要件
- 7,800アイスランドクローナのビザ申請料を支払う
- オンラインで申請書に記入する
ノルウェー
ノルウェーには、国内で最も豪華なエリアの1つであるスバールバル諸島への移住を希望する訪問者のためのユニークなノマドビザがあります。ノルウェーはEU加盟国ではありませんが、シェンゲン協定に加盟しています。このビザの最も注目すべき点は、外国人が豪華で美しい島での生活を楽しめるということです。また、最長2年間有効な短期ビザを申請することもできます。
申請資格
- ノルウェーでの滞在場所の証明
- 働く許可証を持つ自営業者である
- 職業上適切な就労資格を持っている
- 少なくとも35,719ユーロ以上の年収があることを証明するものを提出する
要件
- 約600ユーロのビザ申請料を支払う
- ノルウェーの移民局のウェブサイトから必要な申請書を入手し、申請書に記入する
- 申請書に必要事項を記入し、最寄りのノルウェー大使館に提出する
ギリシャ
ギリシャ政府は、デジタルノマドのためのユニークなビザを導入することを計画しています。このビザにより、渡航者は遠隔地の仕事に参加して地域経済を後押しすることができます。ギリシャ政府は、非市民から受け取った収入の50%に課税することを約束しています。
要件
- 自営業者であるか、ギリシャ国外に拠点を置く会社で働いている
- ビザを取得する前にギリシャの税務上の居住者であったことがない
結論
さまざまなEU諸国で導入されているデジタルノマドビザによって、働きながら世界を旅することが簡単で楽しいものになりました。デジタルノマドビザの取得は、EU諸国での生活や仕事を希望するほとんどの渡航者にとって、効率的で費用対効果の高いプロセスになりつつあります。リモートワーカーの方は、次の仕事や休暇の渡航先を計画する際に、渡航先として人気のEU各国が提供する、上記の選択肢を参考にしてみてください。