ESTAとETIASの違いは何ですか?

ESTAとETIASの違いは何ですか?

現在、多くの国の人々が欧州やシェンゲン圏へビザなしで渡航することができます。しかし、ETIASの導入により、これまでビザなしで渡航できた人々は、まもなく欧州への渡航前にETIAS認証の取得が必要となります。

ETIASは欧州渡航情報認証制度の略で、渡航希望者がEUおよびシェンゲン協定加盟国に犯罪、テロ、または健康上のリスクをもたらすかどうかを判断し、欧州の安全保障を強化するために導入されるものです。新しい渡航認証システムは2022年半ばに開始され、最初の6ヶ月間は試行期間となる予定です。この間、ETIAS認証は必須ではありませんが、2023年初頭から義務付けられる予定です。

欧州のETIASと同様に、米国のESTA(電子渡航認証システム)も、望まない、あるいは望ましくない渡航者が米国の領土に入るのを防ぐために導入された安全保障施策です。

電子認証

ETIASもESTAも、以前は米国や欧州を訪れる多くの人々にとって常識であったビザではありません。ETIASまたはESTA認証はパスポートに電子的にリンクされており、保有者は当該国に渡航することができます。欧州や米国の当局は、渡航認証を申請する資格がある国のリストを管理しています。EUは現在約60カ国、米国は約40カ国をリストアップしています。米国のリストに記載された国の多くは英国を含む欧州の国々で、英国は欧州のリストにも記載されています。

ビザが物理的な書類であるのに対し、ETIASやESTAは基本的に同様の機能を持ちながら、パスポートに電子にリンクしており、スキャンして承認状況を確認することができます。このため、電子認証はビザよりも簡単かつ迅速に確認することができ、より安全です。ビザはステータスの更新を簡単に確認することはできませんが、電子認証のもう1つの利点は、パスポート保有者の詳細を状況の変化に応じて迅速に確認および更新できることです。

申請者がETIASやESTAを取得するには、オンライン申請書に記入する必要があり、その際、犯罪やテロとの関連、前科に関する情報など、多くの個人情報を入力する必要があります。

テロとの戦い

ESTAとETIASの導入の背後にある主な動機は、テロ攻撃を防ぎ、テロに関与したと有罪判決を受けたり疑われたりする人々を選別することです。ESTAは2010年から運用されており、2007年に制定された9.11委員会勧告実施法の勧告を反映しています。ツインタワー攻撃は2001年に発生しましたが、米国政府が最終的に米国への訪問者のこの事前審査を導入するまでには10年近くかかりました。現在は、米国への出発前に空港や港のターミナルでESTAを確認することが義務付けられています。ただし、渡航者が有効なESTAを保有していても、米国に入国する権利を保証するものではありません。ESTAを保有していても、米国の安全保障にとってリスクがあると判断された場合、米国税関・国境警備局の職員が入国を拒否することができます。

同じ基本原則がETIASにも当てはまります。まもなく必須となりますが、有効なETIASを保有していても、欧州や、EUおよびシェンゲン圏内の国への自動的な入国が保証されるわけではありません。国境警備担当者は、ETIAS保有者が安全保障や、テロ、犯罪、健康上のリスクをもたらすと信じる根拠がある場合、入国を拒否する権限を有しています。

異なる入国許可基準

ESTAとETIASの申請プロセスは非常に似ていますが、米国当局は非常にセキュリティを意識しており、申請者についたわずかな疑問符でさえ拒否につながる可能性があります。犯罪歴のある人は、ETIAS認証を取得する方がESTAを取得するよりもはるかに簡単です。これはもちろん、犯した罪の重さと服役期間によって異なります。ETIAS申請書では、刑期の短い軽微な犯罪歴であれば本当に問題となる可能性は低いですが、米国のESTA当局者はおそらくまったく異なる見方をするでしょう。

同様に、過去に紛争地域への訪問歴やテロとのつながりがある場合、米国の治安機関では深刻な危険信号が発せられる一方、ETIASの審査委員会ではさらに質問を受けるだけとなる可能性があります。
渡航予定者が深刻な医学的または精神的な問題を抱えている、または伝染病や感染症に罹患している場合も、米国当局に咎められる可能性があります。HIV/AIDSは、2009年にESTAの申請拒否理由リストから削除されました。

同じような申請手続き

ESTAとETIASの申請プロセスは非常に似ており、どちらもビザのように大使館や領事館に直接出向くのではなく、オンラインで行います。いずれの場合も、申請書は基本的にアンケート形式で、完全かつ正直に記入する必要があります。

ESTAやETIASの申請に必要な標準的な情報と詳細は次のとおりです。

  • 氏名、住所、国籍、生年月日、出生地。
  • パスポートの詳細、発行日と有効期限、パスポート番号、発行国。
  • メールアドレスや電話番号などの連絡先。
  • ETIASとESTAの申請書には、以下に関する項目も含まれています。
  • 過去の渡航歴と訪問国。
  • 犯罪歴、前科、刑期の詳細。
  • 健康状態、特定の病気や疾患の詳細。

すべての申請書は多数のセキュリティおよび犯罪データベースと徹底的に照合されるため、虚偽または誤った情報を提供してもすぐに検出される可能性が高く、これらの照合が「ヒット」した場合、申請書は直ちに拒否される可能性があります。拒否された申請者は直ちに異議申し立てを行う権利がありますが、誤った情報が犯罪やテロ活動に関わるものである場合や、指定されたリストに載っている深刻な病状がある場合は異議が認められない可能性があります。

有効性と費用

現在、米国への渡航にはESTAが必要ですが、まだ欧州への渡航にETIASは必要ありません。現在ビザなしでETIAS諸国に入国できる渡航者に2023年からETIASが義務付けられるようになると、この状況は変わります。

先述のとおり、ESTAとETIASの申請プロセスは非常によく似ていますが、条件や有効期間、費用に違いがあります。

ETIAS:

  1. 申請者は、有効期限が渡航日から6ヶ月以上ある有効なパスポートを保有していなければなりません。
  2. 保有者は、何度でも欧州域内へ出入国することができますが、180日間のうち合計90日間の滞在に制限されています。この90日間は、合計90日間を超えない限り、一度にまとめて使用することも、何度かに分けて使用することも可能です。
  3. ETIASは認証日から3年間有効です。

ESTA:

  1. パスポートは機械読み取り式(電子パスポート)で、米国での滞在期間中有効でなければなりません。
  2. ESTA保有者は、到着日から最大90日間、1回、または数回の訪問に分けて米国に滞在することができます。この規則は、カナダや、メキシコ、カリブ海諸島への渡航にも適用されます。
  3. ESTA保有者は、米国税関国境警備局が到着時に生体認証データを取得することに同意する旨を申請書に記載する必要があります。
  4. ESTAは認証日から2年間有効です。

ETIASの有効期限が3年間なのに対して、ESTAの有効期限はわずか2年間ですが、はるかに高価です。ETIASの費用は7ユーロと予想されていますが、ESTAは現在14ドルです。ESTAの公定料金は14ドルですが、申請者は多くの代理店がこの金額の何倍もの料金を請求していることに注意する必要があります。

結論

ESTAとETIASにはいくつかの共通点もありますが、それぞれ異なっています。最も大きな共通点は、乗り継ぎや、観光、ビジネスを目的とした短期滞在のための渡航認証であることです。ETIASとESTAでは、価格や、期間、要件、そしてもちろん申請資格も異なります。しかし、両者の主な目的は、政府の追加収入源として機能しながら、強化されたセキュリティ機能を提供することです。