海外からの旅行者は、2024年の欧州訪問に慎重な期待を寄せている。
欧州旅行委員会(European Travel Commission)の旅行レポートによると、彼らは安全で手ごろな旅行先に注目しているが、年明け早々の旅行にはやや消極的な姿勢を示している。
主要観光国で異なる見解
同報告書は、ヨーロッパへの旅行者を送り出す主要7カ国の旅行計画を調査した。その結果、ブラジル、オーストラリア、カナダ、韓国では高い興奮度が見られた。
米国では、2023年と同様に約60%が海外旅行を計画している。一方、日本はわずか5%増の35%だった。
減少したのは中国だけで、昨年に比べ14%減少した。
これらの国から海外旅行を希望する旅行者のうち、75%がヨーロッパを希望しているが、25%はその他の地域を検討している。ただし、2024年1月から4月までのヨーロッパ旅行については関心が異なる。
中国人の半数とブラジル人の49%が2024年初頭にヨーロッパを訪れる予定である。オーストラリアと韓国でも40%前後が早期のヨーロッパ旅行を考えている。
一方、カナダ、アメリカ、日本では30%以下が早期のヨーロッパ旅行を計画しており、現時点では慎重な姿勢を示している。
渡航先選びのコストと安全性
ヨーロッパへの渡航を希望する旅行者にとって、渡航先を選ぶ際に最も重視するのは安全性で、各国とも45%が優先している。
旅行者にとってのその他の要因は、高いものから順に以下の通り:
- 観光インフラの質 - 38
- 有名な観光スポットと手頃な料金- 35
- 天候の良さ - 31
さらに、特に韓国(33%)と中国(32%)の旅行者にとっては、自然・文化遺産の保護が大きな魅力となっている。
躊躇している旅行者のうち、36%が旅行費用の高さを理由に挙げている。
また、休暇の時間が限られていることも12%の足を止めている。
旅行者はさまざまな予算で旅程を組む
典型的な2024年ヨーロッパ旅行者は、1~2週間の旅行で3カ国を観光する予定であり、全体の58%が最も人気のある旅行期間である。
しかし、オーストラリア人の50%は2週間以上の休暇を希望している。
1日の予算もさまざまだ。国全体では、38%が1日あたり200ユーロ以上を使うことができ、特に中国人の78%とブラジル人の50%がそうだ。
別の31%は100ユーロから200ユーロで、オーストラリア人の40%と韓国人の42%が好んでいる。しかし、カナダ人の36%は1日100ユーロ以下であり、全体では21%に過ぎない。
ETIASルールは長期滞在と永住に適用される
報告書によると、欧州の長期旅行に対する関心は高い。これは、2025年から欧州渡航情報認証システム(ETIAS)を必要とする旅行者に影響を与える可能性がある。
オーストラリア人の50%以上が2週間以上の休暇を希望している。また、中国とブラジルの旅行者は、ヨーロッパでの1日あたりの予算が200ユーロを超えることを強く望んでいる。このような情報は、家族連れ、投資家、デジタルノマド、学生など、より長期的で永続的な旅行者がヨーロッパを訪れることを示唆している。
ETIASでは、こうした旅行者が欧州連合(EU)に90日以上滞在する場合、事前に渡航承認を得ることが義務付けられている。そのため、ETIASの事前計画がカギとなる。
観光とともに成長する移民政策
ETIASが2025年に開始されるのに伴い、入国管理に関する規則は観光業の回復に向けた準備が整いつつある。
ETIASの承認は、90日以上の欧州滞在で完全なビザを必要としない海外からの旅行者に義務付けられる。
複数の国にまたがる長期休暇への関心が高まるなか、ETIASの簡単な手続きは、安全保障と観光客のアクセスを両立させることを目的としている。
ETIASの規制と並行して、スペイン、フランス、ギリシャのような需要が急増している国々は、観光産業の成長を受けて、より多くの外国投資を呼び込むために既存の移民プログラムを拡大する可能性もある。シェンゲンエリアの開かれた国境は、その計画を重要なものにしている。
自然と文化の優先事項が浮上
観光客数の回復に伴い、ヨーロッパでは、安全性、コスト、持続可能性、地元の本物の遺産など、さまざまな旅行者の優先事項に適合させる必要が生じている。